ビジネスと自然との融合~森の中の新社屋ビル

一緒に感動

柏崎市が策定した駅前エリア活性化のための都市計画を受け、植木組は本社の新築移転を決意しました。駅前の賑わい創出と、ビジネスと自然の融合をコンセプトに建築計画を立てて2018年4月着工。デザインと機能性、環境への配慮、働きやすさを追求した新本社ビルを核とした、新しい森「J-FOREST」が2019年3月に誕生しました。

人と街、未来をつなぐ森

植木社長:
社屋は社員が働く場であると同時に、その地域にとっても意義のあるものでなければならないとの思いから、新本社建築に際しては三つのコンセプトを掲げました。まず、柏崎に本社を構える企業として地域活性化に貢献すること、次に、自然や環境に配慮して持続可能社会の実現に寄与すること、そして、仕事の効率化と社員の働きやすさの向上を叶えることです。それらを集約した「人と街、未来をつなぐ森」というテーマのもと、設計・施工・総務の各部署を横断するプロジェクトチームを立ち上げました。チームには建築技術者である私も参加し、130年を超える歴史の中で積み上げた実績や知識、地元だからこそ熟知している地質や気象などのデータを活用し、地域に求められる場の創出を目指しました。

緑化と省エネで環境に配慮

植木社長:
第二段階は、コンセプトをどのように基本設計に盛りこみ、具現化していくかです。地域活性化については、敷地内に遊歩道を設けて柏崎駅と駅前商店街、市庁舎をつなぎ、市民が自由に周遊できる流れを作りました。また、遊歩道には花や木々を植栽して、集いや憩いの場としての役割も持たせました。この緑には癒しだけでなく、年間で約4トンものCO₂吸収効果があり環境対策に繋がるので、ここは重要なポイントでした。環境については、自然光を屋内に取り込むライトシェルフの設置、地中熱利用のエアコン導入、雨水利用などを積み重ね、省エネルギーに努めました。そして、海岸に近く、降雪量も多い柏崎の地域性を考慮し、メンテナンスがしやすく、持続可能な建築物にしました。

働きやすさと快適性を追求

植木社長:
本社機能の効率化を図り、働き方改革につなげたいというのは、私たちにとっての懸案でした。そこで、新社屋では、PC梁を採用して無柱の大空間を実現させ、全部門をワンルームに集約。これにより、効率化はもちろん、部門を横断してコミュニケーションが取りやすくなることで新しいアイディアが生まれ、創造性にも繋がるだろうと期待しています。もう一つ叶えたかったのは、働きやすさです。余裕のある大空間には、自席以外に、ソファ席や打ち合わせスペース、カフェスペ―スも設け、快適性を追求しました。また、遊歩道のほかに3階のテラスにも植栽を施し、社内のどこからでも緑が見え、社員が癒され、幸せに過ごせるオフィスを目指しました。

人と人との交流が生まれる

事務職 社員:
旧社屋では3フロアに分かれていたので、社員でも顔を合わせない人もいましたが、ワンフロアになってお互い顔がわかるようになりましたし、カフェスペースで話すようにもなりました。1階の私の席からは遊歩道の緑が見えるのですが、そこには10数種類の木々が植えられていて、季節で表情を変えるので見飽きることがありません。一番好きなのは、カエデやカシワが色づく秋。赤や黄金色が見事です。

営業職 社員:
初めて来たのは就活時でしたが、正面のシックな外観と広々としたエントランスがあまりにもかっこよくて驚きました。執務室がワンフロアなので、入社後ほどなく全員の顔と名前を覚えられました。一般的な席配置と違って、部長と課長が並んで座っていたり、部屋の中央に各部門の統括部長が集まっていたりするので、最初は不思議な感じでしたが、実は、その配置だから打合せしやすく、効率よく仕事が進むのだとわかり、また驚きました。

地域とともに、地域のために

水島 管理統括部長:
新本社ビル建築においての課題は「両立」でした。柏崎駅前に建てるのですから、ランドマークとしての美しさが必要です。一方、環境への配慮、災害時への備え、安全性の担保、コスト管理などすべての条件を満足させなければなりません。そこで、機能をデザインとして見せられないかと画策しました。意匠にすべて意味がある、そういうビルが完成しました。実施設計4カ月、工事1年という短工期内で成し遂げられたことは私たちにとって自信となり、次に繋がる大きな一歩になりました。

植木社長:
新本社ビル完成から3年が経って遊歩道の木々も育ち、森にふさわしい景観が出来上がってきました。社員が幸せに過ごせるようにとの思いで設計した「森の中のオフィス」でしたが、まさにその通りになってきました。この森を、社員だけでなく多くの人々に散策や憩いの場として親しんでいただきたいですし、イベントの場としても活用していただきたいと思っています。建設業は、安全で豊かな地域づくりを担う、地域に密着した存在です。私たちはこれからも創業の地、柏崎を拠点として、そこに暮らす人々が幸せを感じられる地域づくりに、真摯に向き合っていきたいと思います。

代表取締役社長植木 義明

管理統括部長水島 和憲

※所属および掲載内容は取材当時のものです。

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